令和4年 Ⅱ-2-1

Ⅱ-2-1 コンピュータシミュレーションを活用した構造設計において、制御系と構造
系、熱・流体系と構造系など、多くの設計領域を考慮した複合領域の設計が重要となる。
あなたは製品開発のリーダーとして、機械製品を対象にした複合領域の設計に取り組み、
要求される機能を満たす製品の設計をまとめることになった。業務を進めるに当たって、
下記の問いに答えよ。


(1)開発製品を具体的に1つ示し、複合領域の設計を進める理由を説明せよ。また、調
査、評価すべき事項とその理由を説明せよ。
(2)複合領域の設計を進める上での留意点を述べよ。
(3) 業務を組織的、効果的に進めるための関係者との調整方法について述べよ。

解答例

1 具体的な製品と複合領域の設計を進める理由

(1) 具体的な製品

 サーボモータとボールネジの送りでヘッドを動かすエンジン生産ライン用ダウエルピン圧入機とする。圧入には大きな力が必要で、設備はその半力に耐えうる構造としなければならない。また、ボールねじの回転による発熱や周囲の温度変化でボールねじが熱膨張し停止位置にズレが生じてしまう。この為、熱と構造系の複合設計が必要となる。

(2) 調査・評価する事項

①系でボールねじが受ける温度変化
 使用する場所の周囲の熱源や気温、ボールねじ自身の発熱量を調査する必要がある。ボールねじの摩擦による発熱量を正確に知るためには、使用条件と同じ条件で実験する必要がある。

②ボールねじから発生する熱放射率、熱膨張率
 熱解析に必要な為、上記の値を調べる。ボールねじの正確な熱放射率が知りたい場合は実験から求める必要があるが、文献より一般的な熱放射率は調べられる熱膨張率に関してはメーカのカタログ等で調べる。

③装置の必要な位置精度
 圧入要件や、製品の圧入する穴の公差、ピンの形状から必要と考えられる位置精度を調査する。 

2.設計を進める上での留意点

 設計の手順をいくつかのステップに分け、それぞれの段階での留意点をいかに示す。

①装置の目標とするスペックを整理する段階

 停止精度、強度等の目標のスペックを満たす為のスペースの制約やコスト等の問題点を洗い出し対策を検討していく。加工、輸送、メンテナンスに関する課題についても留意する。

②コンピューターで熱解析・構造解析を行う段階

 装置の設計がある程度進んだらC A E解析を行う。

熱解析や構造解析は有限要素法を用いるが、メッシュの分割と誤差率を適切な値にする事に留意する。

③製品の組立ての段階

 ボールねじの発熱は潤滑状態に大きく依存する事に留意し、グリスの適切な量の塗布を組立者に指示する。

3.業務を効率よく進める為の調整方法

①高精度のボールねじは長納期となる事が多い。装置の詳細全ての設計が完了していなくてもボールねじの選定が終わった時点で調達に手配依頼をかける事で、プロジェクト全体の日程の遅延のリスクを抑えられる

②例えば装置でメンテナンスの配慮の為、分解し易いように部品を分ける等の配慮は、時として部品点数の増加や、部品の複雑化に繋がる。その為加工部門の要望と組立部門の要望が競合する。早期のDR で両者が納得できる設計案を提案し、調整する事で製造段階で問題となり設計手戻りとなるリスクを減らす。 以上

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